クリエイター編Vol.1では、法人化における注意点を見てきました。
続いて、クリエイター業は副業で行っている方も多いので、個人事業主の時にも気になる受発注時の契約法務や源泉徴収についてまとめます。
見逃されがちな契約法務
会社に勤務されている方であれば、「商談成立にあたってはNDA、見積もり、発注書・業務委託契約書などを事前に交わす」という文化が根付いていることが多いと思いますが、これまで接点のあったクリエイティブやアカデミア関係者の中には、「口頭で話した」「契約書は締結してきていない」という方も見受けられました。
業界慣習による力関係がある場合もあるかもしれませんが、個別の受発注については、条件を満たせば「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律25号))」における「個人事業主」と「発注事業者」間の受発注関係となります。
その場合、発注者側は、書面または電磁的記録(メール・チャット等)で、報酬額や支払期日を明示する必要があります。
受託側のうち、従業員を雇わない個人事業主、マイクロ法人を「特定受託事業者」として、副業・兼業の場合も含み、保護対象としています。
特に「やっぱり契約なし!」「成果物が気に入らないので報酬を支払わない」といった慣習に対する対応となっているので、自身を守るためにも一読しておくようにしてください。
受注を予定しているクリエイターの方は、物事は口頭で進めるのではなく、書面で対応してもらうようにしましょう。
口頭のみでやり切ろうとする発注者がいたら本当にビジネスパートナーとして法的に問題がないのか再検討しても良いかと思います。
契約法務がきちんとしていない人や組織は、金銭取引についてもルーズなことがあります。
受注が決まったところまでは嬉しい話としても、支払いが行われない、不当な額である、となった場合、結果としてトラブルになりかねません。
活動をする前に何が起こるか調べておく
単発であれば、原稿料、講演料、自身で描いた絵画等の販売。
プラットフォームや仲介業者から一部パーセンテージの割り当てを受ける投げ銭や印税等。
個人事業主で開業している場合は事業所得、副業クリエイターで業務規模が小さい場合は雑所得に判定されることが多いです。
活動を始める前に、「自分は今年いくらくらいの売上を立てられそうなんだろう」「それは開業届を出した方がいいレベル?」「会社の副業申請ルールはどうなっていた?」といった状況を調べておきましょう。
給与をもらっているかどうか、また、副業売上がどれくらいかによっても確定申告ルールが変わるため、こちらも税理士によく相談ください。
また、暗号資産を介したNFT等の販売・売却をしている人も、売上価格を法定通貨建でどう計上するか事前によくご確認ください。
さらに、OpenSeaなどの海外プラットフォームを使った場合には、税金の取り扱いルールが変わることがあります。
源泉徴収の対象
印税、原稿料、講演料などは所得税法第204条により、支払者が企業であれば源泉徴収が義務付けられています。
契約時の支払額は源泉行われる前提なのか、自身が請求書を出す時に源泉徴収をして提示すべきか、事前によく確認しましょう。
また、確定申告時に、どの会社から年間でいくらもらったかを確認するために「支払調書」を発行してもらえることがあります。
以前は、確定申告時に支払調書の添付が義務付けられていましたが、現在は添付不要になっているため、企業から業務委託契約者への送付義務はなくなりました。
もらえない場合は、自身でクラウド会計管理をしておき、そこで確認するのが一番早いでしょう。
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